なぜイギリス人は日本に憧れるのか
円安効果で外国人観光客が増えたことを実感する今日。
東京だけではなく、私の実家がある東北でも外国人が増えたと感じるくらいです。
暇つぶしによく「My favoriteプレイリスト」を作るのが好きな筆者、
実は最近ある人たちがこぞって東京に来ていることに気づいたのです。
ロンドンのエレクトロミュージックでは東京がアツいらしい。
そう、イギリス人のエレクトロ系アーティストたちの間では、
どうやら日本ブームの波が来ているよう。
近年のヒット曲だけでも、日本絡みの曲がぞくぞく見つかるんです。
Clean Bandit ft. Jess GlynneのRather Be
Clean Bandit - Rather Be ft. Jess Glynne [Official Video]
こちらの曲は日本でもヒットし、いろんなところで流れていました。
聞いたことある人も多いのではないでしょうか。
Rather BeのPVは東京で撮影されたもの。
主人公の女の子も、ロンドン在住の日本人女優の方だそうです。
Charli XCXのBoom Claps
恋愛映画の『きっと、星のせいじゃない。』(原題:The Fault In Our Stars)の主題歌。
この曲にはふたつMVがあって、ひとつは東京の渋谷界隈にて撮影されています。
Charli XCX - Boom Clap (Tokyo Ver.) [Official Video]
チャーリーは大の日本好きだそう。こちらのインタビューでも、PerfumeやTommy February6のMVをよく見ていたこと、ロンドンで開催されたきゃりーぱみゅぱみゅのライブに行ったことを話しています。
曲の雰囲気とか本人のヴィジュアルも、KAWAII文化からの派生系列とも見なせるかな、と。
きゃりーがパステル・キッチュ・KAWAIIだとしたら、チャーリーはガーリーロック・キッチュ・KAWAIIって感じ。
流行のランジェリーミックスのステイリングに首元のチョーカー、真っ赤なリップを塗って歩いている女の子、原宿界隈でよく見かけます。
SNAKEHIPSのForever(Pt.II)
Snakehips - Forever (Pt. II) [Official Video] ft. Kaleem Taylor
さらに日本人ダンサーのayabambiがPVに出演しているDJデュオのSNAKEHIPSのForever(Pt.II)。
ムービー内の景色は日本そのものというよりも、中華風な提灯や朱色に照らされた部屋など西洋人視点のジャポニズム表象といった感じ。
でもPV中では日本人のおじさんが日本語でしゃべってるんですよ!笑
NEWオリエンタリズムの再来?
ここ2年くらいの間に、ロンドン電子音楽系ボーイ&ガールがこんなに来日してます。
私が思うのは、これはエレクトロミュージックシーンにおける新たなオリエンタリズムの波が来ているのではないかということです。
オリエンタリズムというのは、19世紀末の西洋美術における東洋文化ブームのこと。
このときはアジア圏だけではなく、中東圏の文化にも注目が集まりました。
例えばホイッスラーのこちらの絵*1はとてもわかりやすいオリエンタリズムの例。
日本文化に触発されたこのスタイルは「ジャポニズム」とも呼ばれます。
美しい刺繍が施された着物や、色鮮やかで躍動感のある浮世絵、美しい絵柄の扇子やうちわを見た西洋人たちが、ぐっと心を奪われたのもわかるような気がします。
彼らは全く未知で真新しい文化、そしてその美しさに魅了されました。
フジヤマ・ゲイシャ・エレキトリックジャパン
そしてイギリスのヤングたちの間でも、19世紀同様の流れが起こっているように思われるのです。
特にロンドンは音楽の土壌が豊かで、才能ある若いアーティストたちがぞくぞく登場しています。
しかし彼らが夜な夜な情熱を爆発させるクラブは、ザ・伝統!と名付けたくもなる古き良き街並みに埋もれた小さなハコ。
レンガと石畳の隙間から、エッジーなエレクトロサウンドが漏れてくるわけですよ。
彼らはエレクトロサウンドにマッチする異世界を求めていて、
そして、東京というエレクトリカルシティに憧れを抱くのではないかと思うのです。
筆者が思うことはひとつ
イギリスのエレクトロミュージックファンの私が思うことはただひとつです。
才能ある若きアーティストたちよ!いつでも日本においでませ!!
ポピュラーミュージックに疲弊した私たちは、
脳内神経をスパークさせ、
全神経を揺さぶる君たちのビートを聴くためなら、
明日の仕事の予定すら忘れて、電光掲示板に埋め尽くされた街に這い出していきますよ!!

*1:ホイッスラー「ラ・ジャポネーゼ」