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一人カセットテープ

ひとりで聴いて、誰かに教えたくなる、そんな音楽

死体の名前はオフィーリア

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桜の樹の下には女の子の死体が埋まっている

という伝説は、気味が悪いけどきらいじゃない。ちょっとロマンティックな気がする。

だけどこの前友人に「桜の樹の下には落ち武者の死体が埋まってるんだよ!」と言われ、ちょっと複雑な気持ちになった新社会人のnikiです。

 

 

美しさと死の関係

「桜の樹の下」伝説の由来はさまざまあるようですが、やはり、桜の刹那的な美しさが「死」のイメージと結びつきます。そして「命短し恋せよ乙女」というように、「短命」「儚い美しさ」等々と結びつけられる「少女」も刹那的美しさの代名詞。

少女のイメージが桜の樹の下伝説に組み込まれても、なんの不思議もありません。

 

世界一美しい死の描写

少女の悲劇的な死を最も美しく描き上げたのはウィリアム・シェイクスピア

ハムレット」に登場するオフィーリア ( ハムレットの恋人 ) の最期は、溺死の瞬間とは思えないほど詩的に語られます。

すてきな花輪を、垂れた枝にかけようと、柳によじ登ったとたん、意地の悪い枝が折れ、花輪もろとも、まっさかさまに、涙の川に落ちました。

裾が大きく広がって、人魚のようにしばらく体を浮かせて

そのあいだ、あの子は古い小唄を口ずさみ、自分の不幸が分からぬ様子

まるで水の中で暮らす妖精のように。

でも、それも長くは続かず、服が水を吸って重くなり、哀れ、あの子を美しい歌から、泥まみれの死の底へ引きずり下ろしたのです。 

(「ハムレット」第4幕 7場 王妃ガートルードの台詞より)

 

どうですか、せっかくだから原文も読んでください。

 

There on the pendent boughs her crownet weeds

Clamb'ring to hang, an envious sliver broke,

When down the weedy trophies and herself

Fell in the weeping brook. Her clothes spread wide, 

And mermaid-like a while they bore her up;

Which time she chanted snatches of old tunes, 

As one incapable of her own distress,

Or like a creature native and endued

Unto that element. But long it could not be

Till her garments, heavy with thier drink,

Pulled the poor wretch from her melodious lay

To muddy death.

シェイクスピアはつまらないと言う人が多いけど、それはあなた、日本語訳で読んでるからです。シェイクスピア作品は演劇。声に出して美しく、耳に心地よい言葉で書かれているのです。たとえば、相田みつをの詩は日本語だからこそ楽しめる。あの独特のニュアンスや雰囲気があってこそ、相田みつをの言葉が心に響くのと同じです。

 

※ 筆者は決して「シェイクスピアの英語を理解しろ」とは言っていません。

詩の文法に則って書かれているため英語に慣れた人でも読みにくいのです。

筆者もちゃんと読めません。でもそうじゃなく、感じるんだよ。

「日本人よ、シェイクスピアは考えるな、感じろ」

 

ミレーの描いた「オフィーリア」

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 このオフィーリアの美しき死の場面を、鮮やかに描いた画家がジョン・エヴァレット・ミレー ( John Everett Millais ) 。19世紀イギリスの芸術家グループ、ラファエル前派の画家のひとりです。青々と茂る水辺の草、少女の真っ白な肌、深さを感じる真っ暗な小川の水、色彩の明暗のつけ方が目を引きます。そして死にゆく少女の美しく官能的な表情が、鑑賞者の視線をさらに釘付けします。この絵は現在ロンドンのテート・ブリテン美術館に所蔵されています。

 

少女は再び水辺で死にゆく 


Billie Marten - Bird (Official Video)

最近筆者のお気に入りの曲が、ビリー・マーティン ( Billie Marten )Bird」彼女はイギリスで今注目されるシンガーソングライターです。

この「Bird」のMVを見て真っ先に頭に浮かんだのが、そう、オフィーリア

歌の出だしが " She's underwater again"(「彼女は再び水のなか」)で、MVでもビリーがゆっくりと水辺の深い方へ歩いていくシーンがあるのです。

シンプルなピアノの音と、儚げで繊細な曲調とビリーの優しい声が私の好みどストライクで、早くiMusicで配信されないかと心待ちにしています。2016年4月2日現在、日本ではまだ配信されていないのです。

私は家で作業しながら、ListenOnRepeat ( youtubeの動画をずーっとリピート再生できるサイト )でひたすら聴いています。

( 現在リピート36回目を過ぎたところ )

 

追記

現在は日本のiMusicでも配信されています!ぜひご試聴ください!

 (2017. 2.1)

Bird

Bird

  • Billie Marten
  • シンガーソングライター
  • ¥250